ポップ・ミュージックの歴史において、ロックのビートの変化は大きなトピックです。
ビートは現代に至るまで何度も他ジャンルの音楽を吸収、ミクスチャーしていきました。
その中でこれまでの2拍4拍にアクセントが来るエイトビートの概念を大きく打ち破ったのが「THE POLICE(ポリス)」。
今回はそれを体現したポリスのドラマー、スチュワート・コープランドをご紹介します。
目次
パンク・ムーブメント真っ只中の英国に新風を起こした「ポリス」
The Policeの代表曲『Message In A Bottle』
1979年に発表したアルバム『Reggatta De Blanc(邦題:白いレガッタ)』の収録曲である『Message In A Bottle(邦題:孤独のメッセージ)』。
この曲には、ポリスというバンドの特徴がすべて詰まっています。
スティング(B、Vo)によって作曲されたこの楽曲は、歌詞もドラマチックで感動的。
伸びやかな歌声にアンディ・サマーズ(G)の幻惑的なギターのアルペジオによって叙情あるサウンドが生み出されます。
そして、ダンスミュージックとして成り得たのがスチュワート・コープランドの最大の功績でしょう。
The Police=「ホワイト・レゲエ」
ポリスのサウンドはしばしば「ホワイト・レゲエ」と称されます。
1970年代末に活動を開始したポリスは、楽曲の良さ、ユニークさと、それを表現するために必要なメンバーの演奏力の高さから、1984年にいったん活動を停止するも、英国におけるパンク最盛期であった1980年代を代表するバンドの1組となりました。
むろんポリス以前にもレゲエ・ビートの要素を加えたパンクバンドはありました。
同時期には3大パンクバンドのひとつであるTHE CLASHにおけるトッパー・ヒードンのスタイルも同様だといえるでしょう。
彼も多彩な音楽性に柔軟に合わせていた、偉大なドラマーの一人です。
The Policeのおすすめアルバム
なおポリスを聴く順番について、オススメは
- GREATEST HITS 1978-83
- Reggatta De Blanc(邦題:白いレガッタ)
- synchronicity
- Outlandos D’Amour
- Zenyatta Mondatta
- Ghost in the Machine
- LIVE!
どれも名盤ぞろいですが、この順番で聴くとよりバンドとしての深みが伺えると思いますよ。
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スチュワート・コープランドは「突進力」を持つドラマー
イケメンだが、難ありの性格!?
スチュワート・コープランドは顔立ちが端正で、年輪を経た現在では考古学者のように知性が溢れた面持ちをしています。
一方で、けっこうヤンチャな性格をした人物として知られています。
ポリス初期ではドラムヘッドひとつずつに「FU×K〜」とふざけて書いていましたし、1986年にポリスが活動再開した折には趣味の乗馬で落馬。
新たに録音を控えていた音源に参加できず、結局は打ち込みになってしまいました。
それでもバンド!3人揃うことで調和されている
スチュワート・コープランドは、ドラムが速くなりがち。
ベースボーカルのスティングは、感情が高ぶりやすい。
楽器隊が少々暴れ馬な感じのするThe Policeですが、ギタリストであるアンディ・サマーズのプレイの安定感によりギリギリの線を保ち、豊かな演奏をしています。
また、ドラムが「ハシる」というのは決して悪いことではなく、これこそがスチュワート・コープランドの味であり、The Policeを象徴しているのです。
ジャンルに囚われないドラムスタイル
そんなスチュワート・コープランドですが、25歳で参加することとなるポリス以前には
- プログレッシブロックバンド「カーヴド・エア」
- ジャズロックバンド「ラスト・イグジット」
に参加しており、プログレやジャズロックの土台がありました。
そのため、エイトビートを美徳とする「パンクバンドのドラマー」では考えつかない視点を備えていたと考えられます。
スチュワート・コープランドは、ドラム奏法も特徴的!
特徴的な「歯切れの良い」ドラムサウンド
スチュワート・コープランドと言えば、とにかく歯切れの良いサウンドが特徴です。
前のめりになりがちな衝動性がありますが、プログレッシブロックやジャズロックを通って培った音楽的知性によって、その独自の音世界を生み出しているドラマーといえるでしょう。
スチュワート・コープランド”らしい”ドラム
スチュワート・コープランドは、音量が求められるロックドラマーとしては珍しく、左手の手のひらを上に向ける「レギュラー(トラディショナル)・グリップ」の使い手としても知られております。
プレイはリバウンドを最大限に活かし、アタックが強くオープンリムショットや打面を両手でほぼ同時に叩く「フラム」を多用するのが特徴です。
そして、何より肝心なのはハイハット・シンバルの表現力。
先ほどのLive動画を見て貰えばわかりますが、一曲の中で多彩なハイハット・ワークをしているのが伺えるでしょう。
背景にパンクのアティチュードを保ちながら、レゲエなど中南米の要素を組み合わせた異国情緒感を醸し出しています。
現在でも唯一無二の芸術的なドラムプレイと言って過言はないでしょう。
スチュワート・コープランドのドラム機材
スチュワート・コープランドはTAMAの愛用者!
スチュワート・コープランドは、長年にわたって日本のドラムメーカー「TAMA」を愛用しているドラマーです。
また、6インチシェルの長さの設定によって、フルセットで使った時に1オクターブの音階が得られるTAMAのオリジナルパーカッション「オクタバン」を採用し、ドラムセットに組み込んでいるのも彼の世界観にマッチしているのでしょう。
シンバル類はスイスのシンバルメーカーであり、明るい煌びやかな音色が特徴の「Paiste」を使い、キレのある綺麗なシンバル音を鳴らしています。
シグネイチャーモデル①:スネアドラム
TAMAから、スチュワート・コープランドのスネアのシグネイチャーモデルが発売されています。
スネアドラム スチュワート・コープランドモデル SC145
【仕様】
・シェル:ブラス1,5mm
・サイズ:14”×5”
・フープ:打面-ダイキャストフープ、
・スネアサイド-スチール・マイティーフープ、10テンション
彼のメインスネアの素材や仕様を忠実に再現したモデルで、クロム・メッキを施した1.5mmというやや厚めのブラスシェルが鋭い音ヌケを生み出します。
打面のみをダイキャストフープにすることで得られる明快なアタック音も特徴です。
「スチュワート・コープランドのようなスネアのキレが欲しい!」という方にはオススメですね。
シグネイチャーモデル②:スティック
スチュワート・コープランドは、スティックはVATER社製のものを使用。
VATER スチュワート・コープランド スタンダード VHSCSTD
【仕様】
材質:ヒッコリー材
サイズ:14.1 × 406 mm
チップ:ウッド
同社は1950年代から続くドラム・スティックの高品質メーカー。
ちなみに品番「VHSCSTD」はスタンダードという意味があります。
映画BGM制作などマルチな側面も!枠組みにとらわれない天才肌
精力的にソロ活動を行なっている!
ポリスの活動以外にも、ほかのバンドでの活動やソロ活動も並行して行なっています。
1986年にポリスの活動停止した期間では、
- 映画のサウンドトラック
- ビデオゲーム音楽
- テレビ音楽
の制作に熱中しました。
ここ近年では、ヴィットリオ・コスマ(key)、エイドリアン・ブリュー(G)、そしてマーク・キング(B)と組んでいる「Gizmodrome(ギズモドローム)」でも活動、2018年には来日を果たし、精力的な活動を継続しています。
スチュワートの音楽の才能は計り知れない
ドラムやパーカッション以外にも
- 管
- 弦
- 鍵盤楽器
などマルチに楽器演奏し、オーケストラのスコアリングもしています。
特に彼個人のキャリアにおいて有名なのは、音楽担当をしたフランシス・フォード・コッポラ監督の映画『ランブルフィッシュ』(1983年)。
The Policeのドキュメンタリー映画も必見!
また、ポリスの名作ドキュメンタリー映画に『ポリス・インサイド・アウト(原題:Everyone Stares: The Police Inside Out)』(2007年)が挙げられます。
こちらの撮影やナレーションを務めたのもスチュワート本人。
彼は遊び心から8mm カメラ”super 8″で、バンの後部座席に乗り込んで時にはおふざけを交えながら撮影、成功に向けてアメリカや日本など各地で演奏を続けるバンドの様子を撮り続けました。
ライブ映像なども収録されており、バンドのサクセスストーリーとしてはもちろん、スチュアート・コープランドのユーモアあふれる人柄も垣間みられる良い映像作品です。
スチュワート・コープランドは今後も必見のドラマー
スチュワート・コープランドは、ドラムという枠に止まらず自分色を出していく人物です。
その表現の豊かさは、The Policeという世界的バンドでも、他の様々な活動の中でも確認できます。
この機会に、ぜひ一度彼の演奏を聞いてみてくださいね!